ながの金融広報だより 第165号 2023.4

 


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2023 年度 「金融教育研究校」を委嘱しました

    当委員会では、新しい時代を生きるうえで必要な資質・能力を確実に育むことを目指し、児童、生徒の発達段階に応じた「金融教育」の研究・実践を支援するために、毎年、「金融教育研究校」を委嘱しています。
    今年度は新たに3校に委嘱し、下記の5校が研究校として研究活動をに取り組んでいます。

小学校 中学校 高等学校
長野市立戸隠小学校
<新規>
中川村立中川中学校 長野県下高井農林高等学校
<新規>
麻績村立筑北中学校
軽井沢町立軽井沢中学校
<新規>



 

学校の授業、地域の学習会等に講師を派遣します (無料)

    学校の授業や、各地域・グループ・学校PTAなどで開催される学習会、講演会、研修会等へ講師として「金融広報アドバイザー」を無料で派遣しています。
    ご希望の方はホームページをご覧いただくか、事務局までお問い合わせください。
 

私たち、金融広報アドバイザーがお伺いします

 

テーマ別

ライフプランなら


・知って得する!家計管理と貯蓄法
・教育費 いくらかかる?どう貯める?
・年金制度の仕組みについて
・セカンドライフの人生設計
・終活 ~エンディングノート~

悪質商法対策なら


・だまされないで!高齢者を狙うあの手・この手
・金融トラブルに遭わないために
・最近のトラブル事例とその対処法

子どもの金融教育なら


・お金の大切さ、働くことの大切さ
・おこづかいゲームで考えよう ~欲しいものと必要なもの~
・自立した消費者になるために

これから巣立つ若者に


・18歳から成人~これからの人生のためのお金と契約
・一緒に考えましょう~お金のこと・将来のこと~
・自分に合ったキャッシュレス決済を選ぶには
・消費者トラブルから身を守ろう

 


 

2022年度の主な活動

金融経済講演会を開催しました

<第1回>

開催日 2022年11月2日(水)13:30~15:00
講 師 落語家 林家彦いち 氏
演 題 伝統芸能に学ぶ幸せな暮らし ~幸せに生きるためのヒント~

落語界の夢を実現する仕組みやお金事情、伝統芸能の世界の知恵、プライスレスのものの価値など、お金にまつわる話について落語を交えながら楽しくお話しいただきました。
参加者からは、「とても楽しく有意義な時間を過ごすことができ、暖かな気持ちになりました」、「落語界の経済面の仕組みがよく理解でき、勉強になりました」等の声が多く寄せられました。

 

<第2回>

開催日 2023年2月14日(火)18:30~20:00
講 師 国際ジャーナリスト
明治大学国際日本学部名誉教授
蟹 瀬 誠 一 氏
演 題 コロナ後の世界情勢 ~金融経済の行方と私たちのくらし~

現在のロシア・ウクライナなどの国際情勢や、金融情勢、投資についてなど、バラエティーに富んだとても興味深い内容をお話しいただきました。
参加者からは、「金融について詳しい話を聞けて良かった」、「ユーモアを交えながら、人生の在り方を見直すきっかけとなる大切なお話をしていただき、自分のライフスタイルを改めて考えた」、「個人資産という無形ながら一番有益な資産の大切さに気付くことができた」といった感想が数多く聞かれました。

 


 

学校や地域の学習会等に講師を派遣しました

2022年度は56先・93講座に、金融広報アドバイザーや事務局職員を講師として派遣しました。

回数 参加人数(延べ)
大学での金融リテラシー講座 5大学・28講座 2,070名
学校での授業・講演会(PTA対象を含む) 12校・21講座 985名
青少年生活設計講座(※) 27校・32講座 2,600名
地域や公民館での講座・講演会 8先・8講座 165名
教職員を対象とした講座 4カ所・4講座 89名
合  計 56先・93講座 5,909名

(※)「青少年生活設計講座」は、高等学校・大学・専修学校・各種学校等の生徒・学生を対象に、自立した社会人として欠かせない正しい金融・経済の知識を身に付けるとともに、悪質商法被害、クレジットトラブル等の消費者トラブルを未然に防止することを目的として開催する講座です。


 

2022年度の「金融教育研究校」の研究活動を一部紹介します

■上田市立神川小学校

 4年生が、地域の方に教わりながら栽培したグラジオラスの花びらを使った商品の開発・販売活動を行いました。
開発した商品のひとつ、ハーバリウムについては、自分たちで作製したものと市販されているものを比較し、自分たちのハーバリウムが売れるようにするための改善点や、“自分たちらしさ”を出すことの検討を行いました。改善したハーバリウムは授業参観の際に販売活動を行い、見事完売しました。この活動を通じて児童は、労働により生み出す価格や、その価格と表裏一体となる付加価値、そして、損益を考えての商品の値段設定(いくらなら買ってもらえるか、材料費はいくらかかるかなど)を学習したほか、労働の対価としてお金を得ることの意味を体感しました。

 

■中野市立高社中学校

 2年生が職場体験学習を行い、「働くことの意味」を実際に体験したことを通して考えてきた中で、働くことで得られる収入や生涯設計と支出の関係について、現時点での自分なりのライフプランを設計し、試算シートでどのくらいお金がかかるのかを調べました。
2022年11月に開催した公開授業では、ゲストティーチャーから「稼ぐ、使う、貯める、増やす」といったお金の4つの側面についてや、預金と投資の違いとそれぞれのメリット・デメリット等についての話を伺い、自分の設計したライフプランを実現させるためにお金とどのように付き合っていくかを自分事として考えました。

 

■中川村立中川中学校

 1、2年生を対象とした、家庭科の時間に、当委員会の小野金融広報アドバイザーが支援・指導に入り「賢い消費者とは?」という問いを追究する授業を行いました。
10グループに分かれ、「よりよい消費生活のために」、「ネットのトラブルに巻き込まれないために」といった内容の10のテーマについて、1グループ1テーマを担当し、資料やタブレットを使って調べながら問題点や解決方法を話し合いました。話し合った結果を発表しあい、学年全体でそれぞれのテーマについての問題意識や解決方法を共有しました。

 

■麻績村立筑北中学校

 全校生徒を対象に、当委員会の小野金融広報アドバイザーが「知っていますか?お金のこと」と題して特別授業を行いました。
この授業を通して生徒は、人は生きていくうえで、どの場面でも必ずお金が必要なことを実感することができました。また、労働については、正規職員とアルバイトの比較を通して働き方や収入・保証の違いを具体的に教わったことで、どちらを選ぶかは自分自身で考えることを知るとともに、今後の進路選択や就労への意識を高めることができました。

 


 

古川アドバイザーが「金融知識普及功績者」として表彰されました

(右が古川アドバイザー)

    当委員会の金融広報アドバイザー 古川雅文さんが「2022年度金融知識普及功績者」として表彰され、山城事務局長より表彰状が授与されました。
 「金融知識普及功績者」は金融庁及び日本銀行が、金融及びその背景となる経済についての教育活動をより一層推進するため、国民の金融に係る知識の普及・向上に功績のあった者及び団体に対して表彰を行っているもので、2022年度は14名、1団体が表彰されました。
 古川アドバイザーは県の消費生活センター所長や消費生活相談員として長年にわたり消費者行政の第一線で活躍されたほか、2016年7月に金融広報アドバイザーに委嘱されてから現在まで、消費者を取り巻く幅広い問題の有識者として、若年層から高齢者まで幅広い年代に対し、契約やキャッシュレス決済、消費者トラブル、ライフプランなどを中心とした講義を数多く行っています。


コラム ~信州の風~「国産そばの再興の道」

    当地信州は日本屈指のそば処ですが、日本国内では、その原料の約7割を輸入に頼っていることを皆さんはご存知でしょうか。「そば」といえば日本固有の食文化とのイメージから専ら原料は国産と思い込んでいた私は、その事実に耳を疑いました。
実際に調べてみると、確かにかつては全量国産でしたが、その作付面積が1898年(明治31年)の179千haのピークをつけた後、収穫量も1914年(大正3年)の154千トンをピークに減少に転じ、1976年(昭和51年)のボトム時には、作付面積が15千ha、収穫量は14千トンにまで低下。その一方で、外国産は、風味は国産に劣るものの、1952年(昭和27年)の南アフリカ産の輸入を皮切りに、1963年(昭和38年)には、そばの原産地とも言われ、廉価な中国産の輸入が開始され、その後輸入量が増大したようです。
 因みに、2020年国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、世界のそばの生産量は、約181万トンで、第1位がロシアの89万2千トン、第2位が中国の50万4千トン、第3位がウクライナの9万7千トン、第4位がアメリカの8万6千トンと続き、4万トン超の我が国は世界で6番目の位置です。また、各国のそばの実を使った料理としては、ロシア・ウクライナ・東ヨーロッパでは、そばの実のおかゆ(カーシャ)、そば粉入りのパンケーキ(ブルヌイ)、中国ではモンゴル地方の押し出しそば(ヘイロ)、練ったそばをちぎって伸ばしてゆでた料理(モルンチフ)など、各地で固有の食文化があるそうです。
 もっとも、1970年代にボトムをつけたそばの国内生産は、その後、畑作に加え水田からの転作田を中心に生産拡大が図られ、2022年(令和4年)には、作付面積が65千haとボトム対比約4倍、収穫量は40千トンと同約3倍のレベルまで復しました。長野県でも、2022年の作付面積が4,310haと同時期のボトムから約5倍に拡大し、その収穫量は3,190トン(国内シェア8%)と同約6倍にまで増え、国内では北海道の18,300トン(同46%)に次ぐ全国2位に位置しています。
 また、国産の品種面でも、風味の改良に加え、多収性、難脱粒性(熟しても実が落ちにくい)および倒伏耐性等の機械化収穫適性を備えた品種開発が進んでいます。長野県でも、1944年(昭和19年)開発の主力品種の「信濃1号」に加え、1979年(昭和54年)には多収性の「しなの夏そば」が、2002年(平成14年)にはこれら奨励品種の栽培が不敵な高冷地での栽培に適した「開田早生」などが新に育成されました。さらに、2013年(平成25年)には、「信州ひすいそば」のブランドで、「信濃1号」よりも緑色が濃く香り高い特性を有する「長野S8号」を10年の歳月をかけて開発し、その後、より倒伏耐性の高い新品種「長野S11号(桔梗11号)」を育成するなど、不断の改良が進められています。こうした品種開発に加え、戸隠在来等に代表される県内各地の在来種の生産振興も相俟って、「信州そば」の魅力は一層の高まりをみせています。
 そばは、そもそも収量が少なく湿害にも弱く、近隣種と交配し品種管理も難しいこともあって、こうした官民・地域一体となった取組みが必要不可欠です。「信州そば」の愛好家としても、これまでの関係者の取組みにも思いを馳せ、信州を代表する食文化を堪能していきたいと思う次第です。

ながの金融広報だより 第165号 掲載

 



 

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