ながの金融広報だより 第166号 2023.7

 


【印刷はこちらから】ながの金融広報だより 第166号 2023.07 
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「くらしに役立つ講演会」のご案内(参加無料・事前申込制)

当委員会が主催する「くらしに役立つ講演会」を、下記の要領により開催します。
皆さんのご参加をお待ちしています。
なお、参加は無料ですが、参加証が必要ですので、必ず事前にお申込みください。

講  師 杉 村 太 蔵 氏
(元衆議院議員)
演  題 杉村太蔵が語る
お金と人生設計と生きるチカラ講座
日  時 2023年9月23日(土・祝)
14:00 ~15:30
会  場 上田市交流文化芸術センター
サントミューゼ (小ホール)
定  員 250名(先着順。定員に達し次第締め切ります)
○応募方法 ホームページからお申し込みください
※返信メールにて参加証をお送りします。

お申し込みはこちら

※ 本申し込みにかかる個人情報は、当講演会関係事務以外に使用することはありません。

【事務局】 〒380-0936 長野市岡田178-8 日本銀行長野事務所内
長野県金融広報委員会  FAX:026-223-0128

なお、ホームページから申し込みができない場合は、①郵便番号、②住所、③氏名(ふりがな)、④電話番号(平日の昼間に連絡可能な先)を明記のうえ、はがきまたはFAXにより、【事務局】の「講演会K」係までお送りください。はがきにて参加証をお送りします。

【講師プロフィール】
1979年8月北海道旭川市出身。2004年3月筑波大学中退。 派遣社員から外資系証券会社勤務を経て、2005年9月総選挙で最年少当選を果たす。厚生労働委員会、決算行政監視委員会に所属。労働問題を専門に、特にニート・フリーター問題など若年者雇用の環境改善に尽力。2016年4月慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程入学、2020年3月同所定単位取得退学。
現在、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアで活動する一方、派遣社員から国会議員、落選して無職からタレントに転身するなど、自身の経験を交えながら語る政治・経済をテーマとした講演活動を全国で行い、活躍中。趣味のテニスは、元国体で優勝したほどの腕前。私生活では三児の父。

 


コラム ~信州の風~「お金の今昔物語」

みなさんご存知の通り、日本銀行では、2024年7月前半を目途に、一万円券、五千円券、千円券の3券種の改刷を予定しています。前回が2004年ですので、約20年振りの改刷です。また、戦後の大きな改刷という点では今回が6回目となります。
新しいお札に描かれる肖像は、一万円券が「渋沢栄一」(現在「福沢諭吉」)、五千円券が「津田梅子」(現在「樋口一葉」)、千円券が「北里柴三郎」(現在「野口英世」)にバトンタッチされます。偽造防止に優れた日本のお札ですが、新しいお札では、世界初となる「(傾けると、三次元の肖像が回転する)3Dホログラム」や「高精細のすき入れ」といった新しい偽造防止技術が取り入れられています。また、ユニバーサルデザインの観点でも、券種の視認性を高めるため、額面数字を大型化し、触っても券種が分かるよう、券面の識別マーク等にインキを高く盛り上げる印刷技術(「深凹版印刷」)を施しています。
新しいお札の信州とのゆかりをみると、一万円券の肖像「渋沢栄一」の関係では、長野・藤屋に投宿し善光寺を参詣、財団法人善光寺保存会の会員として寄進されている記録があるほか、現在の八十二銀行の前身となる、上田・第十九国立銀行の創立などにも関わっています。また、千円券の裏面には、晩年小布施に滞在していた葛飾北斎の「富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」が描かれています。

新しい日本銀行券

【新一万円券】 【新五千円券】 【新千円券】
(表) 渋沢栄一 津田梅子 北里柴三郎
(裏) 東京駅(丸の内駅舎) フジ(藤) 富獄三十六景「神奈川沖浪裏」

 

お金の成り立ちをみますと、物々交換の時代を経て、経済の発展とともに、米や貝等の「物品貨幣」から、金等の「金属貨幣」、貴金属の預かり証としての「兌換紙幣」、現在の紙幣につながる「不換紙幣」との変遷が大きな流れです。
「物品貨幣」には、米(稲)、矢じり、砂金、麻布、貝などがあります。このうち、「貝」については、約3千年前の殷の時代には貝貨として宝貝が用いられておりその産地は琉球諸島との説もあるようですが、現在のお金や財産にかかる漢字に「貝」の字が用いられていることからすると、腹に落ちます。例えば、「買」の成り立ちは網で貝をとる意、「賣(売)」はその「買」と出すの意の「士」で、その貝を出す意、貨幣の「貨」は「化」が化けるや人と人を表すものでその間に「貝」が介在するなりたちから、貨幣によるモノの価値交換がイメージされます。「貯」は、「ウ」が蓋で「丁」が受け皿とする入れ物のに貝を貯めるイメージも分かり易いですね。

    国内での「金属貨幣」としては、七世紀の「富本銭」や708年の「和同開珎」が有名ですが、これらは東アジアでは中国に次いで早いものとされています。それ以降、約250年間の間に12回にわたり国家的に銭貨が発行されますが、銅の枯渇などから改鋳のたびに材質を悪化させ、通貨価値が急速に悪化し、10世紀末には国内での鋳造が停止されました。その後、価値が安定した米や絹・布(麻布)といった物品貨幣の時代を経て、12世紀半ば以降、宋銭等の「渡来銭」が主となりました。その後、国内での貨幣の鋳造としては16世紀の戦国大名による「甲州金」といったところを待つことになります。その後、江戸時代には、「金銀銭(銭は銅等)」の三貨制度に移行していったのは皆さんご承知のところかと思います。
日本最初の紙幣としては1600年頃の「山田羽書」が有名ですが、これ以降、経済の発展に貨幣の鋳造が追い付かないことなどから、「金属貨幣」を補完する形で、これらと引き換えることができる「兌換紙幣」が流通するようになります。その後も、その流通量に貴金属の産出が追い付かないとか十分な兌換準備金が不足するなどして、藩札等の発行元の「信用」に基づく(引換のない)「不換紙幣」が流通し始めます。

日本銀行本店
(出典:日本銀行ホームページより)

明治に入り、1871年(明治4年)の新貨条例で「円」が定められ、1872年(明治5年)には政府紙幣(不換紙幣)の発行、1873年(明治6年)には国立銀行券(金兌換紙幣・1876年金兌換停止)の発行を開始しました。しかしながら、1877年(明治10年)に勃発した西南戦争の戦費調達のための大量の不換紙幣が発行されたことから、激しいインフレーションが発生してしまいました。政府は、不換紙幣の整理を図るため、正貨兌換の銀行券を発行する中央銀行を創立することとします。1882年(明治15年)に、通貨価値の安定を図るとともに、中央銀行を中核とした銀行制度を整備し、近代的信用制度の確立を図るべく、日本銀行が創立されました。1885年(明治18年)に発行された、最初の日本銀行券は、銀貨との引換が可能な兌換紙幣でした。その後、流通していた国立銀行等の発行した紙幣の回収が進み、1899年(明治32年)末にはその通用が停止され、以降、紙幣は日本銀行券に統一されることとなり、中央銀行が一元的に銀行券を発行する仕組みが整いました。さらに、1929年の世界大恐慌の影響で英国が1931年に金本位制から離脱し、日本も同年に銀行券の金兌換を停止し、金本位制から離脱しました。1942年に公布された日本銀行法により、管理通貨制度へ移行し、日本銀行券も「不換紙幣」となり、その信用により発行されています。    当地では、こうした中央銀行による通貨の管理が始まる、明治初期に「信濃全国通用銭札」が発行されましたが、これは、通貨不足による経済の混乱・騒動拡大を防ぐため、伊那県と信濃国14藩が一致協力して発行した紙幣で、藩の枠を超えて発行されたこのような紙幣は国内では類をみないものだそうです。

ながの金融広報だより 第166号 掲載

 


作文・小論文コンクールの作品を募集しています

公式サイト

金融広報中央委員会(事務局:日本銀行情報サービス局内)は、金融教育の学校向け主要事業として、下記の3つのコンクールを実施し、現在作品を募集しています。
中学生・高校生等対象のコンクールは、「おかね」や「金融と経済」をテーマに、青少年の健全な金銭観・価値観や考える力を育むことを目的としています。
また、金融教育に関する実践報告コンクールは、教育関係者に金融教育への理解を深めていただき、学校でより積極的に金融教育に取り組んでいただくことを目的としています。    私たちを取り巻く社会が複雑になる中、子どもたちには、生活や社会について自ら考え、判断し、行動する力を身につけることが求められています。金融教育はこのような力を養い、子どもたちの「社会の中で生きる力」を育むことにつながります。
この機会にぜひ、お金や金融・経済について考えてみませんか。
詳しくは、公式サイトをご覧ください。
多くの皆様のご応募を心よりお待ちしています。

第56回
「おかねの作文」
コンクール
<中学生対象>


9月15日 〆切 (消印有効)

第21回
「金融と経済を考える」高校生小論文コンクール
<高校生等対象>


9月15日 〆切 (消印有効)

第20回
金融教育に関する実践報告
コンクール
<教員等対象>


9月30日 〆切(消印有効)

 


講師を「無料で」派遣します

    学校・大学での授業や講義、地域の勉強会、企業での研修会等で、ライフプラン、消費トラブル、こどもの金融教育、金融経済など、皆さんが「聞きたい」・「知りたい」テーマについて、講師を無料で派遣します。
テーマ(例)や講師派遣の手順の詳細、講師派遣のお申し込みはQRコードからご確認いただけます。
ぜひ、お気軽にご利用下さい。

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